
不動産売却の査定とは?
不動産を売るときに最初に行うのが「査定」です。査定とは、売却予定の不動産が市場でどのくらいの金額で売れるかを専門家が判断することをいいます。つまり、売却の“出発点”となる大切なステップです。
この査定価格をもとに売出価格を設定するため、適切な査定を受けることが成功への鍵になります。査定が高すぎると売れ残り、低すぎると損をすることもあるため、信頼できる方法と業者選びが欠かせません。
不動産査定の種類と特徴
査定には主に「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。それぞれの特徴を理解して使い分けることが大切です。
① 机上査定(簡易査定)
机上査定とは、実際に現地を見ずに、所在地・面積・築年数・間取りなどの基本情報から概算の価格を算出する方法です。
手軽に短時間で結果がわかるため、まず相場を知りたい段階で利用されることが多いです。
主な特徴は以下の通りです。
* 所要時間:最短で数時間〜1日程度
* 必要情報:住所・築年数・間取りなど
* メリット:スピーディに概算価格を把握できる
* デメリット:実際の状態(リフォーム・日当たり・騒音など)が反映されない
おおよその目安を知りたい場合には非常に便利ですが、売却価格を決めるにはより正確な「訪問査定」が欠かせません。
② 訪問査定(現地査定)
訪問査定は、実際に担当者が物件を訪れ、建物や周辺環境を確認して査定する方法です。建物の劣化状態、眺望、日照条件など、机上査定では判断できない部分を詳しくチェックします。
主な特徴は次の通りです。
* 所要時間:1〜2日程度
* 必要情報:物件資料、固定資産税納税通知書など
* メリット:現地確認により精度の高い価格がわかる
* デメリット:準備や立ち会いの手間がかかる
最終的な売出価格を決める際は、必ず訪問査定を受けることをおすすめします。
査定でチェックされる主なポイント
不動産会社は、査定の際にどんな点を確認しているのでしょうか。実際の査定基準を知っておくと、より納得のいく価格を判断できます。
① 立地条件
不動産の価値を最も左右するのが「立地」です。駅からの距離、周辺の商業施設、学校や公園の有無、治安などが評価対象になります。
② 建物の状態
建物の築年数や構造、メンテナンスの状況が査定に影響します。特に、屋根や外壁の劣化、室内のリフォーム有無、給排水設備の状態などが詳しく見られます。
③ 間取りと日当たり
人気の間取り(3LDKや南向きなど)は需要が高く、査定額も上がる傾向にあります。逆に、動線が悪い、日当たりが悪い場合はマイナス評価となります。
④ 周辺の成約事例
近隣で最近売却された物件の価格が参考にされます。同じ地域・同じ条件の成約データをもとに、相場に沿った価格を算出します。
このように査定は、データと実地確認を組み合わせて総合的に判断されます。
査定額の違いはなぜ起こる?
複数の不動産会社に査定を依頼すると、提示される金額が大きく異なることがあります。なぜ同じ物件なのに査定額が違うのでしょうか?
理由は、会社ごとに「販売戦略」や「見込み顧客層」が異なるためです。ある会社は早く売ることを重視して低めの価格を提示し、別の会社は広告戦略に自信があり高めの価格を設定することがあります。
また、査定の根拠とするデータや判断基準にも微妙な違いがあるため、必ず複数社の査定を比較することが重要です。
査定時に準備しておくと良いもの
正確な査定を受けるためには、事前準備も大切です。必要書類や情報を整えておくことで、スムーズに進み、査定精度も上がります。
① 登記簿謄本・建物図面
所有者や面積、構造などを確認するために必要です。
② 固定資産税納税通知書
土地や建物の評価額を参考にするため、用意しておきましょう。
③ 間取り図・リフォーム履歴
実際の使いやすさや手入れの状態が伝わるため、プラス査定につながることがあります。
④ 管理規約・修繕履歴(マンションの場合)
共用部分の管理状況も評価に関係するため、管理会社から取り寄せておくと安心です。
これらを揃えておくことで、査定担当者がより正確に評価でき、結果的に適正な価格を出してもらいやすくなります。
査定を活用して高く売るコツ
査定を受けたあとは、その結果をどのように活かすかが重要です。次のポイントを押さえておくと、高値売却につながります。
① 複数社に依頼して比較する
1社の査定だけでは相場の幅がわかりません。最低でも3社以上に査定を依頼し、価格と根拠を比較しましょう。最近では一括査定サイトを利用すると簡単に複数社へ依頼できます。
② 高額査定の根拠を確認する
極端に高い査定を提示された場合は要注意です。高額な数字で契約を取りたいだけの可能性もあるため、「なぜその金額なのか」を具体的に確認しましょう。
③ 査定結果をもとに戦略を立てる
提示された価格をそのまま鵜呑みにせず、「早く売りたいのか」「できるだけ高く売りたいのか」と目的を明確にし、戦略的に売出価格を設定します。
④ 査定後のフォロー体制を確認
売却活動が始まってからのサポート体制も大切です。販売実績の報告頻度や広告の出し方などを確認しておくことで、安心して任せられます。
査定で失敗しないための注意点
査定は不動産売却の第一歩ですが、注意すべき点を知らないとトラブルの原因になることもあります。
* 高額査定をうのみにして売れ残るケース
* 査定の根拠が不透明なまま契約してトラブルになるケース
* 査定時に虚偽情報を伝えて後で修正されるケース
こうした失敗を防ぐには、「根拠」「比較」「信頼性」の3点を意識することが大切です。
まとめ:正確な査定で理想の売却を実現しよう
不動産査定は、売却のスタート地点であり、今後の価格設定や売却スピードを左右する重要な工程です。机上査定で相場感をつかみ、訪問査定で精度を高め、複数社を比較することで納得の価格が見えてきます。
焦らず、情報を整理しながら進めることで、より良い条件で売却することができます。信頼できる不動産会社と一緒に、理想の取引を目指しましょう。
